競馬YOUTUBERに対する課税の恐怖

YOUTUBEに自らの馬券を披露している方がいらっしゃいます。
ものすごい金額を的中していたり、賭けているため、ついつい見てしまいます。
有名な方では
 
 
がいらっしゃいますよね。
チェンネル登録数も多く、ファンが多い証です!
 
一見すると、独自の予想かつ・特定のレースに絞って馬券を購入しているようです。
(ネット上には、馬券をねつ造している!だったり、詐欺だ!等の情報が溢れていますが、どれも信ぴょう性がイマイチですよね。)
 
今回は税務的な視点から、これから競馬YOUTUBEを始めたいという方のために、課税関係をまとめてみたいと思います。
*あくまで、個人的な見解であるため、税務署の判断と異なる場合がございます。
 
(前提条件)
①馬券は誰が購入できるのか
競馬法第二十八条及び第二十九条において、購入制限のある者が限定列挙されています。ざっくりいうと、未成年者とJRAと近い関係にある者について、購入の制限が記載されています。つまり、法人が馬券を購入することは認められます。(法人が馬券を購入することを想定しているかは疑問です。購入方法についても疑問です。)
 
②はずれ馬券訴訟による所得税法基本通達について
最高裁平成29年12月15日判決や、東京高裁平成28年9月29日判決により次のような通達が発表されました。
競馬の馬券の払戻金の所得区分については、馬券購入の期間、回数、頻度その他の態様、利益発生の規模、期間その他の状況等の事情を総合考慮して区分されます。
 具体的には、馬券を自動的に購入するソフトウエアを使用して定めた独自の条件設定と計算式に基づき、又は予想の確度の高低と予想が的中した際の配当率の大小の組合せにより定めた購入パターンに従って、偶然性の影響を減殺するために、年間を通じてほぼ全てのレースで馬券を購入するなど、年間を通じての収支で利益が得られるように工夫しながら多数の馬券を購入し続けることにより、年間を通じての収支で多額の利益を上げ、これらの事実により、回収率が馬券の当該購入行為の期間総体として100%を超えるように馬券を購入し続けてきたことが客観的に明らかな場合は、雑所得に該当すると考えます。
 なお、上記に該当しないいわゆる一般の競馬愛好家の方につきましては、従来どおり一時所得に該当し、外れ馬券の購入費用は必要経費として控除できませんのでご注意ください。
つまり、ソフトウェアを利用し、網羅的に馬券を購入し、利益を上げることで雑所得に該当するとしています。雑所得に該当することで、はずれ馬券も経費に算入することが認められます。
 
ケース1 個人事業主としてyoutubeを行っている場合
個人事業主の場合、所得税や住民税が課税されます。
今回は所得税に絞って検討していきます。
次のような収入や支出が想定されます。
(収入)
広告収入
馬券配当金
(支出)
動画作成費用(機材や交通費、外注費等)
馬券購入費用
 
所得税は、収入から必要経費を控除した金額に対して所得税が課税されます。
また、所得の内容に応じて、経費の範囲が決められています。
 
①広告収入部分
広告収入は事業所得に該当するでしょう。
動画作成費用が事業所得の経費に該当します。
馬券購入費用は馬券配当金と直接的な関係があるため、事業所得の必要経費には含まれないでしょう。
つまり、広告収入と動画作成費用の差額が事業所得です。
 
②馬券配当金部分
馬券配当金については、前述した通り、一定の条件に該当する場合にのみ雑所得に該当し、その他の場合では一時所得に該当します。(特定のレースにのみ、馬券を購入している。そして、回収率が100%を超えない場合は一時所得に該当)
 
馬券配当金が一時所得の収入に該当
馬券購入費用のうち、当たり馬券の組み合わせに係る部分のみが必要経費に該当
よって、一時所得の金額が多額となります。
(例)
馬連30点買い、1点1,000円、合計30,000円
馬連20倍的中した場合、払い戻し金は20,000円
この場合の一時所得の金額は19,000円(収入20,000円-必要経費1,000円)
収支はマイナス10,000円だとしても、所得税法上では所得が発生したこととなります。
 
 
ケース2 法人としてyoutubeを行っている場合
基本的にはケース1と同様であると思います。
法人税法における所得は益金から損金を差し引いた金額をいいます。
(法人で馬券が購入できるものと仮定します)
(収入)
広告収入
馬券配当金
(支出)
動画作成費用(機材や交通費、外注費等)
馬券購入費用
  ↓
(益金)
広告収入・馬券払戻金
(損金)
動画作成費用は販売費及び一般管理費に該当する為、損金に該当します。
馬券購入費用について、どこまでが損金に算入することができるかを検討する必要があります。
馬券購入費用は原価に該当するでしょう。
原価とは売上に直接対応するものをいいます。
つまり、原価に該当するものは、払い戻しの源泉となった組合せに賭けていた金額です。はずれ馬券は損金不算入となるでしょう。
 
【結論】
買い方に気を付けないと、納税が大変なことになりそうです。
広告収入で大儲けすれば問題なし!
動画が残ってしまっているため、国税は全てを把握しています。正しく納税しないと、最悪のケースも考えられるでしょう。
今まで、グレーだった部分も判決が出たことで、経費性について線引きができてしまいました。
 
【戯言】
はずれ馬券がうん千万となっている方もいらっしゃるようです。
回収率にもよりますが、皆さんもざっくり一時所得の金額が計算できてしまいますよね。恐ろしい。。。
納税資金があればいいのですが。。。。
所得税法累進課税ですので、相当な税額になるでしょう。
恐ろしい。。
 
数万円が数百万円になったり。。。
数百万円当てていたり。。。
税金は、自己破産をしても消えません。
 
めでたし、めでたし